概 説
 大気を圧縮する以上、ドレンの発生は避けられません。大気は圧縮されると高温(約180℃)になり、多くの水分を含んでいます。このエアー(圧縮空気)が端末の空圧機器に至る配管内で自然冷却されると、含みきれなくなった水分が水滴となり、大気中から取り込んだ微細な粉塵や、コンプレッサから生じた潤滑油や金属粉などと混じって「ドレン」とよばれる不純物が発生します。このドレンを排出しないかぎり、精密空圧機器のトラブルは避けられません。
■一例■たとえば、温度20℃・湿度65%の大気を、30馬力のコンプレッサで圧力7kgf/cm2(約180℃)まで圧縮し6時間運転したとすると、このエアーがすべて常温の20℃に戻ると14リットルもの水分が生じることになります。
■コンプレッサの1時間あたりのドレン発生量■
条  件
吸込空気温度 30℃
吸込空気湿度 80%
圧    力 7kgf/cm2

上記の条件を夏場とすると
春や秋のドレン発生量は約2/5
冬は1/5くらいになる
コンプレッサ
容量(kw)
ドレン量
(L/h)
0.2 0.03
0.4 0.07
0.75 0.12
1.5 0.25
2.2 0.36
3.7 0.61
5.5 0.91
コンプレッサ
容量(kw)
ドレン量
(L/h)
7.5 1.2
11 1.8
15 2.5
18 4.1
22 5.0
27 6.1
37 8.4
コンプレッサ
容量(kw)
ドレン量
(L/h)
55 12.5
75 17.0
110 22.3
125 27.9
150 33.5
225 50.2
300 66.9
コンプレッサ
容量(kw)
ドレン量
(L/h)
400 89.2
500 111.5
600 133.8
700 156.1
800 178.4
900 200.7
1000 223.0


■参考■
●水以外の主なドレン物質● ●ドレン物質と機器への悪影響● ●ドレンによる設備・機器のトラブル●
大気
から
粉塵、金属微粉、繊維、セメント粉等 水 分 絶縁不良、サビの誘発による弁の固着や寿命低下、凍結 配管内 サビの発生、管や容器の腐食、たい積による流量不足、圧力損失
亜硫酸ガス、硫化水素
設備
から
コンプレッサ内の潤滑油 油 分
さ び
ゴム弁の膨潤、機器の寿命低下、汚染、塗装不良、小径通路の縮小 機器へ
の影響
フィルターの目詰まりを早める
設備・配管内のサビや剥離物質 弁の動作不良や空気漏れの原因に
金属粉、シール材微粉等 カ-ボン 弁の固着、たい積による火災、爆発、小径通路の縮小、機器の寿命低下 流量不足・圧力損失による誤作動
フィルタエレメント類のクズ ウォーターハンマー現象による破損
塵 埃 フィルタの目詰まり、シール不良 各部品の潤滑不良や作動不良など